210日目です。準備は如何ですか?


もうすぐ9月ですね。
夏休みのやり残しはありませんか?

ずっっっと遠い昔のことのようですが、2月の節分の翌日は春の始まりである「立春(りっしゅん)」でした。
この立春から数えて、9月1日(土)は何日目になるでしょうか?
ヒント:立春は2月4日(日)、今年はうるう日はありません。

正解は、210日目です。
だからな〜に?と思うかもしれませんが、この日は「二百十日(にひゃくとおか)」と呼ばれる、節分や彼岸、土用や八十八夜と同じ雑節のひとつなんです。

雑節とは、二十四節気や五節句以外で、季節の節目となる日のことです。二十四節気をさらに細かくした七十二候のように、季節の繊細なうつろいを感じさせてくれます。
これらは昔の人々の生活や漁業農作業に照らし合わせて作られており、古くから日本人の生活の中にも溶け込んでいました。

では、春から210日目はどんな季節でしょうか?
この時季は稲が開花・実を結ぶ農作物にとって大事な時期となりますが、台風が相次いで襲来し、大事な農作物が被害を受けてしまうことがよくあります。よってこの日は厄日とか、荒れ日、などと言われたりしています。

前回の「処暑」では「そろそろ台風シーズンが始まるよ〜!」と台風が発生し始める時期に入ったことを知らせる目安でしたが、「二百十日」は「台風が来るよ〜みんな気をつけて〜!」と気を配るための注意や警戒を呼びかけけています。元々は伊勢の船乗りたちが長年の経験によってこの日を凶日としたといわれています。江戸時代になって雑節として広く知れ渡りました。

また、立春から数えて220日目の「二百二十日(にひゃくはつか)」も厄日と考えられています。
稲から穂が出始める時期のため、風や雨などの被害から守るために各地で風鎮めのお祓いやお祭りなどが多いのはこのためです。

宮沢賢治の作品「風の又三郎」では、山あいの小さな学校に現れたちょっと変わった転校生、高田三郎を周りは伝説の風の精、風の又三郎だと考えるのですが、この転校生の来た日が9月1日なんです!厄日と言われる台風や風の強い日である「二百十日」でした。
雑節のことを事前に知っていると、あの作品はそうだったのか〜、と思い返すことかできるかもしれませんね。
まだ読んだことの無い方は、ぜひ台風シーズンの今に読んでみてはいかがでしょうか?

9月1日(土)といえばもうひとつ。「防災の日」です。
「防災の日」は1923年9月1日に発生した関東大震災にちなんで、1960年に日本で制定されました。犠牲者の慰霊とともに、災害に備えて避難訓練や防災用品の点検などを促す日です。
学校では新学期すぐのこの時期に避難訓練を行ったりします。

関東大震災のときは、強風の影響で火災がいっきに広がったそうです。
関東大震災では死者行方不明者が14万人以上とも言われ、1959年の伊勢湾台風では死者行方不明者は5千人、負傷者は4万人とも言われています。
これらをきっかけに災害対策基本法が制定されました。

「二百十日・二百二十日」は昔の人々の経験知からだけではなく、台風や雨の被害の多い時期となる近年の日本の災害とも深く結びついています。
豪雨や竜巻なども含めていつ災害や震災に見舞われるかは、直前でないと分からないことがほとんどです。
私達の事前準備が整うほど余裕をもって前にはなかなか分かりません。

「防災の日」をキッカケとして、非常持ち出し袋の点検や非常時の蓄え、ご家族との連絡方法、近くの避難所、そこまでの避難経路、ご家族との待ち合わせ場所などを、家族みんなで一度確認をしておきましょう!!