本当に仲良しなの?見かけだけなの?


立秋を過ぎ、「暑中見舞い」は「残暑見舞い」へと変わりましたが、
まだまだ残暑と呼ぶには暑いですね。
週末以降も南方からの湿った風の影響で、気温の高い日が続きそうです。

本日、8月23日(木)は二十四節気の「処暑(しょしょ)」です。
太陽黄経が150度の位置です。「処暑」は、暑さが峠を越しておさまる、という意味です。日中は暑いですが、朝晩の涼しさに秋の訪れを感じられる頃です。
穀物などの大事な成長期であるこの時期に台風が頻繁に発生し始める、秋の台風シーズンに入っていく頃でもあります。毎日、お天気や台風(防災)情報のこまめなチェックが欠かせないですね。

夏の空の有名な図形のひとつと言えば、「夏の大三角」があります。
三角形の頂点にあるそれぞれの星の名前や、何の星座なのかは分からなくても、聞いたことのある方はたくさんいらっしゃると思います。頭の上の大きな三角は都会の空からでも目立っています。
3つの星座は、「はくちょう座」、天の川を挟んで、「こと座」と「わし座」です。

はくちょう座のデネブという、白鳥のおしりの部分にあたる星が、大三角の頂点の星のひとつです。
それでは、デネブの反対側、くちばしにあたる星をご存知ですか?
【アルビレオ(Albireo)】と言います。アルビレオは3等星で、はくちょう座β星の通称であり、全天でも天文ファンには有名な二重星のひとつです。
肉眼で見るとアルビレオは1つの星のように見えますが、望遠鏡で覗いて見ると「二重星」であること分かります。

3等星のβ1星(β星A)は黄色っぽい金色に見え、5等星のβ2星(β星B)は青色に見えてきます。
地球から見ると、2つの星は34.46秒角離れていて並んでおり、2つの星の美しい色の違いが楽しめます。
その美しさから、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』では「北天の宝石」とも呼ばれ、
宮沢賢治はこの2つの星のことを、輪になって回るサファイアとトパーズになぞらえ、「眼もさめるような、青宝玉(サファイア)と黄玉(トパース)の大きな二つのすきとおった球が、輪になってしずかにくるくると」回る、天の川の流速を測る観測所として登場させています。

実はこのアルビレオの2つの星、β1星とβ2星が実際に互いの周りを公転している「連星」なのか、それとも距離の異なる2つの星がたまたま地球から同じ方向に見えているだけの「見かけだけの二重星」なのかについては、これまで長い間、よくわかっていませんでした。

最近になって、米国の天文学者が、今年4月に公開されたヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星「ガイア」の観測データGaia Data Release 2(DR2)で、アルビレオの2つの星は約60光年も離れていることになり、連星ではありえない「見かけの連星」であることがわかりました。
お互いの周りをぐるぐると回っている仲良し星かと思われてきましたが、観測技術の進歩により、また新しい事実がひとつ発見されました。

私達の身近なところでも、ずっとこうなんじゃないかな〜?と思っていたことが、あとになって調べてみると新しい発見につながるかもしれませんね☆