1. 熱帯・温帯、生まれはどちら


少し前は風の強い日が続いていましたね。
先日の非常に強い勢力の台風は25年振りだったのだそうです。

日本は本格的に秋の台風のシーズンに入りました。
ところで、台風ってなんでしょう?

風と雨が強くて交通機関や生活に多大な影響が出るので、とにかく来て欲しくな〜い!という思いは共通だと思います。簡単に言うと、「動く巨大な空気の渦巻き」です。
少し詳しく言うと、北西太平洋または南シナ海に存在する熱帯低気圧のうち、最大風速が17.2m/s(34ノット)以上のものを「台風」と呼んでいます。

『なんで南から来た台風がいっつも日本付近では曲がるんだろう〜?』と思ったことはありませんか?台風は上空の風に流されて移動し、地球の自転の影響で「北へ」と向かう性質を持っています。
このため、東風が吹いている低緯度では台風は西へと流されながら次第に北上し、上空で強い西風(偏西風)が吹いている中緯度、高緯度に来ると台風は速い速度で北東へと進みます。

ニュースでこんな表現を聞いたことはありませんか。
『台風○○号は、熱帯低気圧に変わりました』
『南の海上付近で台風のたまごが発生しました』

台風は暖かい海面から供給されたたくさんの水蒸気が、上昇して雲粒になるときに放出される熱をエネルギーとして発達します。
まず、日本の南で暖かい空気が上昇し渦を巻いて出来る低気圧(熱帯低気圧)として発生し、海上からたくさんのエネルギーの供給を得て成長していきいます。
そして、中心付近の最大風速が17.2m/s以上になると「熱帯低気圧」は「台風」と呼ばれます。「台風の発生=誕生」です!

生まれた台風は風に流されて移動し、移動する際には常に海面や地上との摩擦によって少しずつエネルギーを失っています。
また、熱帯の温かい海と比べて海水温度の低い日本付近や陸地では、水蒸気の供給が減少するため熱エネルギーの供給がなくなった台風は次第に衰えていきます。
そして、中心付近の最大風速が17.2m/s未満にまで弱まると、もとの「熱帯低気圧」に呼び方が変わります。
「台風」と「熱帯低気圧」は、風の強さが違うだけで、もとは同じ仲間だったんです。

さらにこんな表現を聞いたことはありませんか。
『台風○○号は、温帯低気圧に変わりました』

日本付近に接近すると、上空にある北の冷たい空気が流れ込むようになり、暖かい空気と混ざり合うことによって台風本来の性質を失い「温帯低気圧」に変わります。

温帯低気圧は、北側の冷たい空気と、南側の暖かい空気が混ざりあおうとして空気が渦を巻くことにより出来ます。冷たい空気と暖かい空気が衝突するので、温帯低気圧には前線が出来ます。

南の暖かい空気(暖気)で出来ているのが熱帯低気圧、北からの冷たい空気(寒気)が入って、前線があるのが温帯低気圧です。温帯低気圧が発達して最大風速17.2m/sを超えても台風と呼ばれることはありません。

直前の台風上陸情報だけでなくその前後の情報も分かると、ニュースがより見やすくなると思いますよ。