まなび方の基礎クラス 背景にある考え方

先が見えない時代を生き抜ける「思考する力」を !

覚えるだけの勉強は終わり・・・
文部科学省は、「これからの時代に通用する力」を育成していくことを目的に、抜本的な大学入試改革の柱として、従来の「大学入試センター試験」を廃止し、新たに「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を実施する方向で動き出しました。これは、先行きの見えない不安や厳しい社会情勢を自らの力で乗り越えられる人材を育てるための、教育改革の主眼とも言えます。
この「大学入学希望者学力評価テスト」は、「体系的な知識の詰め込み」を主とした「従来型の学力」から脱し、「主体的に思考する力」を用いて課題を解決していくための学力、いわば「社会に通用する確かな学力」が身に付いているかどうかを問う、新しい大学入試制度です。
この新しい大学入試制度へ移行するのは5年後の2020年度と既に発表されており、これは現在の中学1年生が大学を受験する年度に当たります。しかしながら、この移行に向けてそれまでの学習過程にも改革が迫られていますが、実際には小中学校および高校、学習塾も含めて、この必要に届くような取り組みが行われているとは言い難いところです。

たしかに、暗記を中心とした学習から、思考することを中心とする学習に移行するとなれば、学習する側のみならず指導する側も大きな方向転換を強いられるわけですから、指導方法の移行も簡単ではありません。

「思考する力」は、これまでのように教師が前に立って指導することによって習得できるものではなく、また、あらゆる問題に向き合いながら解決していく力というのは短い期間で身に付くものでもありません。この新しい入試制度への対策には、なるべく早いうちに取り組むことが大切でしょう。

すぐには身につかない思考力
「日本人には思考する力が足りない」という実態が、2000年からOECD(経済協力開発機構)が3年ごとに行っているPISA(国際学習到達度調査)によって示されました。日本人はリテラシー、つまり文章を読んで論理的に思考する力が国際的に劣っており、この結果が文部科学省がこの入試制度へ舵を切るに至った一因となっています。

この「論理的に思考する力」がこれまでのような学習法で身に付かないことは、このPISAの結果を受けても明らかです。

そもそも「思考する」というのは、強いられてできるようになるものではなく、自ら課題に向き合うときにこそできるようになるものであり、思考力をつけるためには、「いかに課題と向き合うか」という取り組みが求められます。

課題と向き合う力をつけるためには、まずは課題を理解すること、つまり、情報を正しく読解し、それを課題解決へと転化していく力をつけていくことです。そしてこの力をつけていくためには、文章を読みそこから考える訓練を積み重ねていくメソッドが有効になります。

「まなびの力」を養成する学習
小学生時代の国語の学習と言えば今も昔も「作者の心情を読み取る」や、「指示語の指している内容を答える」というようなものが多いのではないでしょうか。もちろん、これも大切な学習だと思います。
しかし、「作者はこのことばにどんな意味を込めているのか」「この物語の裏や先にはどんな世界が広がっているのか」といった想像からの理解力、または「物語からのメッセージを受け取り、それを自分のことばで表現してみる」といった表現力を大いに働かせる学習はあまりしていないのではないでしょうか。
しかし、本来ならば国語の授業の時間に身に付けるべき理解力・表現力こそが、その先にある課題に自ら興味関心をもって向き合う力、つまり「まなびの力」へとつながっていきます。

名文を読んで理解力をつけていくことが、「まなびの基礎クラス」の目標です。
まずは字を覚えたての小学校低学年のうちからたくさんの名文に触れて豊かな表現力をからだに染み込ませます。
そして、課題を正しく受け取り、その身に蓄えた豊かな理解力と表現力を大いに活かして課題を解決していきます。
新しい大学入試に必要な力、そしてその先の社会で求められる力を身に付けるために。