真ん中の月の真ん中の月


雨の日が続いています。
皆さま、季節の変わり目は体調にお気をつけ下さい。

一昨日、民間で世界で初めて月に行く、という発表をした日本人が登場しました。
ちょっとしたニュースになりましたが、ご存知でしょうか?
少し先の2023年、実際に月面に着陸をするのではなく、約1週間かけて地球と月を周回飛行する旅となるそうです。

そんな世界初の日本人を送り出そうとしているのは、以前にテスラというロードスターの運転席に人形の宇宙飛行士を載せて火星に向けて打ち上げた、宇宙開発を手掛けるアメリカのベンチャー企業スペースX社です。
その時の車はいまも火星へ向けて時速1万355km(秒速3.02km)という猛スピードで飛行中です。目指す火星への最接近は2020年の予定だそうですよ。最終的に火星へは人類を送り出す移住計画があるようですが、まずはもっとも地球から近い天体・月の周回旅行へ日本人を送り出します。
地球から見えている月よりもずっと近い距離から月を見ることが出来るなんて、面白そうですね。「週末はちょっと月まで行かない?」とか、お月見ならぬ「地球見をしに月に行こうよ!」なんていう日が来るのもあっという間かもしれません。

私たちが気軽に行けるまでは、もう少し。
それまでは、月を見上げます。

名月や池をめぐりて夜もすがら  松尾芭蕉

9月と言えば、もうすぐ十五夜のお月見ですね。一般的にはススキとお団子を飾ります。今年の中秋の名月は9月24日ですので、もうすぐです。

日本では古くから月は神聖な存在とされていました。夏の収穫が終わって農作業の手の空いた時期に、稲の豊作や作物の収穫を祈るお祭りを行っていたと言われています。
また、すでに縄文時代には今の私たちと同じように、月を愛でる風習があったとも言われています。

十五夜にお月見をする風習は、奈良時代から平安時代に入って中国から伝わり、貴族の間で広まりました。宮中では月を見ながら酒を酌み交わす観月の宴が開かれ、船の上では名月を和歌に詠んだり、管弦に親しむなど、貴族たちは夜空を見上げて月を眺めるだけではなく、水面や盃の酒に映った月までもを愛でました。
庶民が十五夜を楽しむようになったのは、ずっと後の江戸時代に入ってからと言われています。貴族のような優雅な遊びではなく、収穫を祝うお祭に近いものでした。十五夜の頃にはちょうど稲が育ち、間もなく収穫が始まる時期でしたので、昔から行っていた豊作祈願や収穫祭と融合して、無事に収穫できる喜びを分かち合い、感謝する日となりました。現在のようなススキを飾ってお団子をお供えするお月見の風習が生まれたのは江戸時代からです。

地域によって違いはありますが、お月見にはお供えものをします。
「ススキ」は秋の七草の1つで、白い尾花が稲穂に似ていることや、魔除けになるという理由でお供えするようになりました。
「お月見団子」は丸いお団子を月に見立てて、感謝の気持ちを表わすそうです。お団子の数は十五夜なら15個作り、ピラミッドのような形に積んでお供えします。この積み方にも理由があり、一番上のお団子が霊界との懸け橋になると考えられていたからだそうです。
「農作物」は、里芋、栗、枝豆などの収穫されたばかりの農作物を供えて、豊作に感謝をします。里芋をお供えするのが一般的で、「中秋の名月」には「芋名月」の異名があります。

ところで、十五夜は「中秋の名月」とも呼ばれますね。
「あれ、仲秋の名月とも書くよ〜?」と思いませんでしたか。
どちらも同じ「ちゅうしゅう」と読みますが、少〜し意味が違うんです。

まず、「仲秋」ですが、仲秋は、旧暦での秋にあたる期間の真ん中の月を指します。
旧暦では、1月〜3月:春、4月〜6月:夏、7月〜9月:秋、10月〜12月:冬の期間です。
秋の7月、8月、9月は、それぞれ孟秋(もうしゅう)、仲秋(ちゅうしゅう)、季秋(きしゅう)と呼ばれ、孟は「初め」仲は「真ん中、半ば」、季は「末、終わり」を意味しています。つまり『仲秋』は旧暦の7月、8月、9月の秋の真ん中である『8月』を表しています。旧暦の8月に見える月は全て「仲秋の月」になります。

次に、「中秋」ですが、中秋も秋の真ん中を表しています。ですが、こちらは秋の期間の真ん中の日のことを指しています。『中秋』は旧暦の8月の真ん中の日、『8月15日』を表します。お月見をするのは、この旧暦の8月15日ですから「ちゅうしゅう」の名月は、【中秋の名月】と書きます。
「仲秋(8月)の月」という大きなくくりの中に「中秋(8月15日)の名月」があるんです。
現在の新暦では旧暦とのずれがあるため、今年は9月24日が中秋の名月です。
なお、旧暦の8月15日は日本の六曜では必ず仏滅にあたることから、「仏滅名月」という別名もあります。

都内、全国各地では24日あたりまで、お月見のイベントがたくさん開催されます!
室内のイベントなどもありますので、ぜひ、週末のお出掛けにいかがでしょうか。
晴れていれば美しい仲秋の月と中秋の名月を楽しむことが出来ますよ〜☆