春の空、見上げる先は桜か月か天宮か


都内の桜もこの暖かさで満開になりました。お花見はいかがでしたか?
桜を見上げて楽しめるのもあとわずかです。

夜空を見上げると、冬の大三角や冬の星座たちが西の空へと移動していき、春の星座たちが天頂まで昇ってきました。
おとめ座にある白く明るい1等星のスピカ、すぐ側にはうしかい座で穏やかに輝く1等星・オレンジ色のアルクトゥールスを見つけることができます。この2つの1等星は「春の夫婦星(めおとぼし)」と呼ばれる春を代表するカップルです。もうひとつの春の代表的な星座であるしし座には、しっぽの部分にデネボラという名の星があります。これら3つの星を繋ぐと春の大三角ができます。

そして昨日28日はしし座の心臓部分にある1等星のレグルスのすぐ側を、春霞の中、明るい月が通って行きました。
今週末の31日は今月2回目の満月です。ひと月に満月が2回現れる、見られることを「ルームーン」と呼びます。
ひと月の内に満月が2回もあるのは「滅多にないこと」としてブルームーンを「見ると幸せになれる」と西欧では言われてきました。

少し前の1月31日もブルームーンでしたが記憶にありませんか?この日は2回目の満月で皆既月食でもあったために「ますます滅多にないこと」でした。
今年のように1年間に2回ものブルームーンがあることもまた珍しいことなんです!間もなく始まる新学期や新生活、良いことがたくさんありますように、ぜひブルームーンを見上げてみて下さいね☆

さて、今度は空を見上げるのに少し不安になる話題です。「天宮1号」をご存知ですか?
2011年の9月に打ち上げられた中国初の宇宙ステーションです。同年11月に無人宇宙船「神舟8号」と無人ドッキングを成功させ、2012年には有人宇宙船「神舟9号」とドッキングをして3人の宇宙飛行士が天宮1号に乗り込みました。
2015年12月までは運用高度である上空330kmから390kmを飛行していましたが、2016年に地上からの指令による制御ができなくなり制御不能となってしまいました。そのため、大気の影響を受けて徐々に高度を下げていき、いずれは大気圏に再突入するとされていました。

そしてこの天宮1号ですが、ここ1週間以内に大気圏に再突入するとみられています。
中国政府代表部では「天宮1は大気圏再突入時にそのほとんどが燃焼するため、航空活動や地上に危害はない」と発表しています。こうした宇宙ステーションなどの大気圏再突入は数年に一度は起きていますが、「天宮1号は大きさ10.4m×3.4m、太陽電池パネルの大きさ3×7m(×2枚)、総重量8.5tと大きく、中身も詰まっているため全体の10~40%(頑丈なエンジンなど)が大気圏の再突入時に燃え尽きずに地表に達する可能性があるので注視する必要がある」、という声もあります。

仮に天宮1号の10%が燃え残ったとすると、およそ850kgの物体が上空から地表に落ちてくることになり、軽自動車1台分ほどの重量です。かなり大きいですね。
同時に燃料として使用されたヒドラジンという物質が飛散し、周辺の汚染の危険も指摘されています。

ESA(欧州宇宙機関)によると、天宮1号が地上に落下するのは本日29日から4月9日の間になる見通しで、落下地点については、「北緯・南緯のそれぞれ43度線付近が最も可能性が高い」そうです。
かなり広い範囲ですが、制御不能ですから実際には落ちる直前、または落ちてみないと分かりません。北緯43度には札幌や釧路、ニューヨーク、ローマなど、南緯43度にはクライストチャーチなどの主要都市が存在しています。また、もしかすると天宮1号が空を横切っていく光跡が、30日あたりの明け方に見られるかもしれません。