春霞。霧か靄か黄砂か花粉か。


寒暖差の激しい3月でしたが、皆さん体調はいかがですか。
いま、「春バテ」になる方が多いそうです。

本日4月5日は二十四節気の「清明(せいめい)」です。
江戸時代に書かれた暦便覧という本によると、『万物発して清浄明潔なれば 此芽は何の草としれる也』とあります。前半は、春先に陽の光が明るく万物を照らし、空気が澄んで清らかで、全てが生き生きと鮮やかに見える様子の頃を指しています。後半は、芽吹いたばかりのこの草は、いったい何という草なのかすぐに分かるという意味です。
清明という言葉は、この「清浄明潔(せいじょうめいけつ)」という語を略したものだそうです。ここ数年は特に、全国的に毎年、桜の開花時期が早まっており、都内の桜は今はほぼ葉桜となりました。日中の気温も初夏の気候になることもあり、温暖化が年々、加速しているのかもしれませんね。暦の上ではこの頃は桜の花が咲きほこり、お花見のシーズン真っ只中です。南の地方ではつばめが渡って来る頃でもあり、雨も多くなる時季で、暖かくなった後に小雨が降り続いて寒くなったりもします。二十四節気の生まれた中国の湿度の低い地域では、空気の澄んですっきりとした気候かもしれませんが、温暖湿潤な日本では、「春霞(はるがずみ)」と言う言葉がよく似合います。
沖縄ではこの時期には「清明祭(シーミー)」と言う行事があります。お墓の前に親族一同が集まり、朝からお墓のお掃除を済ませ、お酒・お茶・お重・果物・お菓子などをお供えたし後、皆で食事をいただく習慣があるそうですよ。

春は遠くの景色が霧(きり)や靄(もや)などでまるで薄雲がかかったような景色になることがあります。これを「春霞(はるがすみ)」と呼びます。空気中の水蒸気の量が増えて、細かな水滴が空気中にたくさん漂うため、遠くの景色ががかすんで見えることによります。霞(かすみ)は昼間の呼び名となり、夜は朧(おぼろ)と呼び名が変わります。平安時代から春の風物として日本では「霞」や「朧」は季語として和歌によく使われています。紀友則の恋歌、『春霞 たなびく山の 桜花 見れどもあかぬ 君にもあるかな』にも登場しています。
ただ、ショックなことにこの春霞ですが、水蒸気が作る霧や靄の他に、「黄砂」のことも指しているとも言われています。また、大量のスギの黄色い花粉が風で空に舞っていく光景も近年ではよく目にします。美しい春の景色が黄砂&花粉によるものかもしれないだなんて…考えてしまうとやはりちょっとショックですね。
春霞の中、ほのかにかすんでいる春の夜の月のことを朧月(おぼろづき)と呼び、朧月が出ている夜のことを朧月夜(おぼろづきよ・おぼろづくよ)と呼びます。月は月齢には関係ありません。満月の時でも、三日月の時でも、柔らかくほのかにかすんだように見えれば朧月となります。
空全体がかすみがかっているので天体観察をするには向きませんが、普段は強く明るい月の光が穏やかになり、柔らかく空を照らしています。この時は春の幻想的な夜空を見ることが出来るかもしれません。今しか見れない朧月夜、見上げる時にはあまり深くまでは考えずに、のんびり春の夜を楽しんでくださいね☆