夏のおわりに熱烈パレードはいかがですか?


お盆はいかがでしたでしょうか?
暦の上では8月7日に立秋をむかえています。
雲の高さや風が変わり、これから少しずつ秋の気配が感じられるようになりますね。

とは言え、まだまだ湿度と気温の高い日が続いています。
8月末の熱いイベントのひとつに、「浅草サンバカーニバル」があります!
37回目の今年は8月25日(土)13:00〜18:00に開催、パレードコンテストは13:30からのスタート(小雨決行)です。馬道通りから雷門通りにかけて行われ、当日は50万人程の人が集まり熱気に包まれます。

浅草サンバカーニバルは昭和56年に始まり、初めはサンバという感じではなかった踊りでしたが、本場ブラジルのリオのカーニバルをお手本に試行錯誤し、現在の浅草サンバカーニバルへと進化してきました。今では、北半球では最大のサンバカーニバル!と言われるほど有名です。浅草サンバカーニバルの最大の魅力は、本格的な踊りとコンテストです。出場者は練習に練習を重ね、圧巻の迫力、華やかさ、サンバ独特の衣装に身を包み、高い技術と見どころいっぱいの踊りを見せます。コンテストは、S2リーグと、更にレベルが高いS1リーグに分かれています。

順位は、【テーマの表現】【演奏】【躍動感】【衣装等の装飾物】などの項目に基づいて審査され、当日のうちに総合順位が発表されます。
●「テーマ」は毎年、チーム毎に決められ、パレードは、このテーマに沿って、物語を描くように展開されます。演奏する曲から衣装からすべてのものがテーマに影響されるので、テーマの良し悪しがその年のパレード成否を握る鍵です。
●「テーマ曲」は、カーニバルのためのサンバでテーマに沿った内容の歌詞をつけて、毎年新しく作曲されます。パレード時には、打楽器隊と弦楽器が演奏をし、歌手の先導のもとにパレード出演者全員が声を揃えて歌います。
●飾り山車を「アレゴリア」といいます。日本で山車というと祭礼の囃子が乗ったものをイメージしますが、ブラジルでは「青森のねぶた」に近いものです。テーマを表現する装飾を満載したアレゴリアを、ほぼ1年がかりで制作します。
●「衣装」は露出度の高い衣装を思い浮かべる人もいますが、あの衣装を纏うダンサーは出場者のごく一部です。ブラジルでは、ひとチーム3000人のうちたった10人ほどです。パレード衣装の多くは、テーマを表現するための手段となりますので、大きな帽子や肩飾りなどが多く見られます。
●大多数の「ダンサー」は、踊りでテーマを表現します。パレードでは「アーラ」と呼ばれる小グループに分かれ、属するアーラによって、役割=ポジションも決まっています。
●「演奏」は、「バテリア」という多種多様な打楽器からなる打楽器隊、ウクレレに似たカヴァッコという弦楽器、弦が7本あるギター、士気を鼓舞する役割の歌手、コーラス隊、メイン歌手が演奏を担います。パレードの演奏メンバーは幾つもの要素から構成されています。

毎年、浅草で行われるこのサンバカーニバルはブラジルが発祥です。
最初のカーニバルは1641年にポルトガル皇帝の即位を祝い、リオの総督が騎馬隊で目抜き通りを行進したことに始まります。これ以来、リオの市民達はカーニバルになると奇抜な格好をして、歌い踊りながら行進するようになりました。
1500年にポルトガルによって発見されたブラジルの当時は未開発の地であったため、アフリカの植民地から種族の異なる多くのアフリカ人奴隷を労働力としてブラジルに連れて来ていました。19世紀になると彼ら黒人達もカーニバルに参加するようになり、様々な打楽器が使われて音楽的にも趣向が凝らされるようになりました。
本格的な音楽グループが登場したのは1855年のことで、当時のカーニバルでは、サンバの音楽はそれほど有名ではなく、ほんの一部の黒人達の間でしか知られていませんでした。1900年頃にようやくサンバがカーニバルの音楽として登場し、1949年代に入ると政府の民衆政策と観光局の応援を受けて、現在のようなコンテスト形式のサンバ・カーニバルが始まり、1958年にはグループ別に順位を付けるようになりました。

ところで、そもそもカーニバルとは何でしょうか?
カーニバル(Carnival)とは、直訳すると「肉を取り除く」という意味合いになります。
元々はキリスト教の「謝肉祭」です。
カトリックで四旬節に先立って3〜8日間行われる祝祭で、道化や滑稽、歓楽が許され仮装したパレードが行われます。
肉断ちなどをする節制期間(四旬節)という、「断食」期間に入る前に食物となってくれる「肉」に感謝を表してお祭りをするということが起源のようです。
なお、四旬節の期間では飲食に限らず、生活全般に渡って慎んだ行動を行って身を清め、イースター(キリストの復活祭)を迎える準備をします。
カーニバルが終わると、この断食しなければならないので、その前にたくさん食べて羽目を外し楽しく騒ごう!というお祭りなのですね。
日本語の「謝肉祭」の「謝」は、断ること・辞退・謝絶を意味する「辞謝」から来ていますので、肉断ちの祭り・肉断ちに備える祭り、となります。

これがブラジルでは、「サンバ」カーニバルとなり、とりわけリオ・デ・ジャネイロのサンバカーニバルは世界的に有名になりました。
もちろんリオだけではなく、ブラジルの全土でカーニバルが行われています。
そしてサンバカーニバルだけでなく、地方ごとに特色を持った音楽と踊りに彩られています。

また、カーニバルが行われているのはブラジルと日本だけではありません。
ウユニ塩湖で有名なボリビアのオルロのカーニバル、スペインのミエル・オチン、イタリアのベネツィアカーニバル、ユネスコの無形文化遺産に登録されたベルギーのバンシュのカーニバルなど様々なカーニバルがあります。

東京下町の夏を彩るイベントのひとつである浅草サンバカーニバル、各チームのテーマと共に演奏や踊り、衣装や山車などをじっくり鑑賞してみてはいかがでしょうか♫